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だからこそ、ウェブページ上に書かれていたトロイの木馬型マルウェアなるものがインストールされていたら、インストールされた時にシステムが検知するか、定期スキャンで弾き出されそうなものなのだ。
だが、今日の今日までそんなことはなかった。
つまり、僕が残業する直前にウイルスが仕込まれた可能性がある。
「だとしたら、悪質だよな。全く迷惑なことしやがって。オフィスの完全施錠まで後十五分だっていうのに。ああ、くそ！ 早く終わらねぇかな。ちくしょう」
ウイルスが検知されたら、直ぐに西村編集長に報告し、犯人を捜して貰わなくては。
僕はイライラを紛らわせる為、報告書の準備をしながら、ふと手に握ったままの原稿に目を留めた。
「さっきは随分と怖がらせやがって」
僕は原稿相手にそう悪態をつくと、それを机に置き、報告書に記入を始める。
と、デスクトップにスキャン終了のポップアップが表示された。
「お、出来たな。どれどれ……スキャン結果は……え、異常なし?」
パソコンの画面に表示された検査結果に、僕は思わず立ち上がり、驚きの声を上げる。
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