わたしのせんせい

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 粗方の道具を片付け終え、美羽はシンに声をかけた。忙しい業界である故、休みの申請は早めにしないと色々な人に迷惑を掛けてしまう。シンのアシスタントになってから、美羽は休みの申請をしたことが無かった。しかし、今回は大切な親友の結婚式だ。長く付き合っていたが、何度か離れていた時期もあった。けれども、めでたくゴールインとなったのだ。  新郎も友人ということもあり、ふたりの門出に美羽は浮き足立っていた。美羽がこの業界で働いていることを親友は知っている。そのため、是非にと美羽にメイクを依頼してきたのだ。 「先生、結婚式のメイクっていうと少し派手なほうがいいですよねえ?」 「……美羽が、メイクするの?」 「あ、未熟だって言いたいんですか? 確かにその通りですけど……。でも、私がやりたいんです!」  絶対に!と、美羽は拳を握りしめる。  熱意が伝わったのか、シンは目を見開く。色素の薄い虹彩が、メイク室のライトに照らされてキラキラと光る。瞳すら美しいのかと、美羽は見惚れてしまった。 「……美羽が……そう……分かった。じゃあ、僕が今教えてあげるよ」 「え?」 「二時間位余裕があるから……座って?」  三年そばにいて、シンがメイクを施してくれることは初めてだった。美羽は少し、いや大いに浮き足立っていた。相談してよかった!と、美羽の口元が緩む。 「……ドレス? 着物?」     
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