わたしのせんせい

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「あ、ドレスです。白だけだったんですが……私のゴリ押ししてもう一着。アシンメトリードレスで、ブルーとライトグレーの! スタイリストさんのコネ、使っちゃいました! 本物のパールが縫い付けてあるんですよ……!」  一着でいいという二人に、美羽は一肌脱いだ。この業界で働くというコネを最大限使用し、人気の最先端ドレスを格安でレンタルした。二人の門出に少し早いが、プレゼントとして、親友にも既に伝えてある。もちろん着付けも美羽が行う予定だ。 「……そう。知らなかったよ」 「えへへ。内緒だったので。もし先生に言ったら、全面協力してくれるじゃないですか」  それだと意味が無いので。と美羽は言い切った。  ケープをかけられメイクを施される自分の頬は、はしゃいだせいか、チークを塗ってもいないのに赤らんでいる。ここの所、二人の嬉しそうな笑顔を思い出す度に、だらしなく頬が緩んでしまう。そんな美羽を横目に、シンのメイクは静かに進んでいく。珍しく無口なシンに、美羽はどうしたのだろうと思いつつも、話しかけずにはいられなかった。 「やっぱりベースはしっかりとした方がいいですか?」 「チークは……」 「シャドウはゴールドにしようと思うんですが……」     
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