0人が本棚に入れています
本棚に追加
「……クリア。対象は制圧した。ナビゲートを」
『敵影が来た角に入り、直進すると階段があります。そこから三階層降りたところと牢は直結しています。別動隊もそこで待機中とのことです』
「至急向かうと伝えて」
『了解。地下は魔術障壁が張られているため通信が届きません。ナビゲートはここまでです』
「ん。ここまでのナビゲートありがとう」
『感謝は要りません、役目ですから。作戦成功の吉報を待っています――クラル様。ご武運を』
通信を終えて、影はオークを見やる。
導のように敷かれたレッドカーペットを、オークから止めどなく溢れる燻んだ赤が侵していた。まるで血抜きだ。
そんな肉塊に残像のように、殺されてきた仲間の姿が被さる。
「必ずだ。必ず勇者を取り戻す。だから――」
四肢に纏わり付く幻想を振り払い、影はナビゲートの通りに通路を駆けた。
最初のコメントを投稿しよう!