プロローグ

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私がこんな事をしているのは、親友 由美香のため…というより、私自身の承認欲求を満たすためかもしれない。 私は先月、お盆休みの直前 に、失恋をした。 「ごめん。 爽(さわ)の事は、嫌いじゃないけど、 しばらくは仕事に集中したいんだ。」 そう彼から別れ話を切り出されて、 「仕事が落ち着くまで待ってるから… 会いたいって、わがままも言わないから… 別れるなんて言わないで。」 と私は縋(すが)った。 だけど、彼は「ごめん」というばかりで、私の願いを聞き届けてくれる事はなかった。 その2週間後の8月末、共通の友人の所へ結婚式の招待状が届いた。 彼はデキ婚するらしい。 仕事なんて、嘘じゃん… 二股、掛けられて、向こうが妊娠したから、捨てられたって事でしょ? 後から聞かされるくらいなら、正直に言って欲しかった。 そしたら、すっきり平手打ちでもして、立ち直れたかもしれない。
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