どうか気づかないでいて

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「おい、そこの坊主」 「……え」  急に腕を軽く叩かれ、その方向を見る。そこにはいかにも下町の親父、という風情の男が立っていた。心配そうな顔でこちらを見ている。 「水色の髪した嬢ちゃん探してるんだろ? あっちの方へ行ったよ。早く行ってやんな。ガラの悪そうな男が譲ちゃんの腕引っ張ってたぞ」 「えっ……! 本当ですか!?」 「ああ。ほら、良いから行きな!」 「ありがとうございます!」  エルスは男が指差した方向を目指して走りだした。
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