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ろくに物を言えないのは。口が回らないのは。きっと眠いせいだ。
彼は自分にそう言い聞かせて、目を閉じた。
――やっと睡魔のやつがよみがえってきた。
目を閉じると、あの図鑑に載っていた写真がいくつも、頭の中でページをめくるように現れてきた。
その最後に――芽吹いたばかりの葉っぱのような目をたたえた、小さな「天使」の姿が現れた。
――おまえは図鑑に載っちゃいないだろ。
彼はひとりで微笑んで抱いている頭を撫でた。
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