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「あれ、ちゃんと起きられたんだよかったお姉ちゃん朝ごはん」
息継ぎなしの単調な口調で言うと、じとりと目を細めたのは妹の悠里だ。やっぱりコスプレとかじゃなくて、ちゃんとした中学校の制服を着ている悠里だ。
「……悠里」
「お姉ちゃん大丈夫?」
私の混乱を知ってか知らずか、心配してくれる悠里に泣きそうになる。
「頭」
涙はすぐに引っ込んんだ。
「……だ、大丈夫だよ。頭も身体も、多分だけど」
「多分、ね」
「ちなみに悠里、一つ質問してもいい?」
「何?」
「今は何年の何月何日なんだっけ?」
「はあ?」
悠里は怪訝そうな顔をした。
「今は、1999年6月29日お姉ちゃん」
「うん?」
「本当に頭の病院行った方がいいと思うよ」
「だ、大丈夫大丈夫。ちょっと、ほら、聞いてみたかっただけだから。私もすぐに着替えてご飯食べに行くから、悠里は先行ってて」
疑いの眼差しを緩ませない悠里はドアをゆっくりと閉めた。
「あ、お姉ちゃんそれと昨日の人、指宿隼人って人にちゃんとお礼言っときなね。お姉ちゃんがビール飲んでぶっ倒れた後、この部屋まで運んでくれたのあの人だから」
「指宿くんが?」
「そう。お姉ちゃんやるねひゅーひゅー」
「だっ、から、指宿くんはそういう関係じゃないってば。彼は私のはつこい……」
悠里は最後まで聞こうとせずにドアを閉めてしまった。
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