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「……確か、今は、冬、じゃなかった?」
「……え? まさか、来月には夏休みだよ」
「夏休み?」
「そうだよ。今日は学校で午後から何かあるとかで、早帰りの日で、たまたま通りかかったら、今和泉さんがこんなとこで寝てて……」
「学校?」
「そうだよ、って、今和泉さん? 本当に大丈夫? 具合悪いならすぐに病院に行こう」
「えっと、待って待って、具合はいいから、大丈夫なんだけど、ちょっと待って、落ち着こう。深呼吸深呼吸」
吸って吐いて吸って吐いてを繰り返しながら、私はこのわけの分からない事態について考えた
。冬だったはずなのに夏になってて、しかも夏休みだの学校だの意味が分からない。
さらに言えば、やっぱりどうして私は自分がセーラー服を着ているのかも分からないし、もう、何もかもが分からなかった。
「私は三十二歳のはずで本厄で大殺界中で……」
「今和泉さん」
頭を抱えながらぶつぶつ言っていたら、突然両肩をつかまれた。
「やっぱり、病院に行こう。暑さにやられたのかもしれないし、さっき俺と頭をぶつけたせいかもしれないし、とにかくおかしいよ」
「え? やっ、おかしいというか、私はいたってまともなはずなんだけど、……というか、一つ聞いてもいい?」
「何?」
「君は誰? 私のことを、知ってるの?」
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