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ネオンの光るビルの屋上に一人の男が手際よく狙撃銃を組み立て、時折吹く強い風を肌で感じながら使用する弾丸のウエイトを調整する。
一発の弾丸を装填し、暗視式スコープを覗き込み時を待つ。
「ジージーッ。こちらマッド、獲物が間もなく店をでる。ジージーッ」
「ウルフ、了解。ジージーッ」
可憐なドレスを身に着けた品のある女性二人を強引に引き連れ、迎えに来た車へと向かう。
「距離316m タ―ゲット確認」
指先はトリガー(引き金)にかかり、呼吸を止める。
『綺麗なドレスは汚さない様に……』
男が車内に頭を入れた瞬間――。
「パスゥ―――ン」
銃口に取り付けられたサイレンサーにより鈍い音が響いた瞬間、フロントガラスを突き抜けた一発の銃弾が男のこめかみを貫通した。
『お前もあの親子と同じ、誕生日が命日だ』
「ジージーッ。こちらウルフ、撤収する。ジージーッ」
「マッド、了解。ジージーッ」
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