物語は終わりたい

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   裏路地にも小さな古本屋が並んでいた。碧衣は、歩きながら一軒一軒を外から眺めてみた。  その途中、店と店の間に細い道を見つけた。そこはよく見れば向こう側に繋がっていて、道を抜けた先には陽がさしていた。  この先には何があるのだろう。碧衣は好奇心の向くままに、細道に足を踏み入れた。  人一人がやっと通れるほどの道を抜け、左側を見ると、そこには本屋があった。古本の街というくらいだから、驚きはしない。  だが、その本屋はすこし変わっていた。 「おまち書店?」  不思議な名前が書かれた看板が、その店に掲げられていた。  碧衣はその店におそるおそる近づいてみた。  木造でレトロ感のある外装だ。窓はカーテンが閉められていて、中の様子はわからない。  少し怪しい。しかし何故だろう。この中に入りたい。  碧衣はドアノブに手をかけた。
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