物語は終わりたい

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 碧衣はその黒い本を店主から貰った。買ったのではなく、貰った。  会計をしようとしたら、もとからお金をとっていないのだという。  経営状態を心配する碧衣に対して、店主はただ、と言った。 「どうか、その本の願いを聞いてやってください」  自分から来ておいて、おかしな店に来てしまったと碧衣は思った。嬉しそうにする店主に下手なことは言えず、わかりました、と笑顔で返した。  家に帰宅し、夕食と風呂を済ませた碧衣は、部屋で一人になり、さっそく黒い本を持ってベッドの上に座った  店主に忠告されたため、どれほど変わった中身だろうかと期待して本を開いた。  しかし、中身は普通の本と変わらずに、活字が続いているだけだった。  そして碧衣はその本を読み出すと、すぐに夢中になっていた。
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