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物語は終わりたい
本には何かが宿っている。なぜなら、そこには著者の魂の一片が刷りこまれているからだ。本を開いた瞬間、それは呼吸を始める。字を追えば、その息遣いが聞こえてくる。それはまさに、生きているのだ。
だから、本は生き物なのだ。
なぁんてことを、碧衣は棚に並べられた本を見ながら考えている。
5月のとある土曜日、碧衣はまた古本の街を訪れていた。
今日もお気に入りの店を巡って、宝探しみたいに本を探している。その時の碧衣は、無敵の冒険家になったような気分になる。
その日、碧衣はほんの気まぐれで、大通りから離れた場所まで歩いてみた。
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