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第2話ん ドール・レヴォリューション
イーサンは、ようやく生まれて初めて眼を開いた。
たくさんの家族に見守られて、とても幸せに思った。
「初めまして。あなたは僕のお兄さんですか」
家族はガラスの壁の向こう側だった。
イーサンが、自分のいる場所が公然と犬身売買を行っているペットショップのショーケースの中だと知るのに時間はかからなかった。
イーサンは、店員がケースの蓋を開いて食事を入れる瞬間を待って脱出を試みたが、腰に激痛が走ったために届かなかった。
「ミニチュアダックスフンドにジャンプなんかさせるなよ。売り物にならなくなるだろ」
店長が店員を叱った。
ミニチュア・・・。
その言葉は、イーサンの小さなハートにとても大きな傷を負わせた。
「俺は猟犬になるんだ。お前ら、何の権利があって、品種改悪なんかしやがった」
エゴのために、自然のバランスを崩しておいて、へらへらと笑っていやがる。
イーサンの思いが通じないのは、この人間という者達が言語に頼りきり、上面だけで生きている事の証明だろう。
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