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すべては推測とも呼べないような憶測で、わからないことのほうがむしろ多い。
しかし、これは大きな事だ。
この首輪のシステムには、隙がある。
莉々子が逃れるための隙が。
必要なのは情報だ。この首輪には何が出来て、何が出来ないのか。
馬鹿正直に思ったことを口に出すなんていう失態は、もう、二度としない。
フォークをトマトに突き立てる。
莉々子の視線は、あからさまなものではないが、ユーゴに向いたままだった。
些細なことでいい。そこから、ユーゴを出し抜く。
ほとんど無言の食事が終わると莉々子は元の部屋に戻された。
「では、な」
軽く挨拶をして、ユーゴは扉を閉めて出て行った。
しかし、今度は扉の鍵をかけられなかった。
「………あれ?」
莉々子は首を傾げて扉を開けたり閉めたりして何度も鍵がかかっていないことを確認したが、事実は変わらなかった。
「…………」
おとなしく無言で扉を閉じると、とりあえず、ベッドに横になって、寝た。
ただのふて寝だ。
屋敷内を冒険したい誘惑にも一瞬駆られたが、今は活発に動き回る気にはなれなかった。
このユーゴの不可解な行動に関しての考察は、また今度に持ち越しである。
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