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プロローグ①
「はーづかれたー」
ボフッ
疲れたあとのソファ、最高すぎ・・・・・・
「ていうか、お前が仕事中に人助けなんかしなきゃ、そんなに疲れないんじゃねえの?」
「まったく兄ちゃんは薄情だなあ。風船が木に引っかかった女の子とか見たら、思わず足が動くってもんでしょ。他にも重そうな買い物袋下げてるおばあちゃんとかさあ」
「いや、人助けはいいけど、仕事中にやるなって話だよ。お前が途中で抜けるから、どんだけ引っ越しの荷物を運ぶのに時間がかかったか。ほら、一真、お前も何か明日香に言ってやれよ」
「あ、あはは。まあ、それが明日香のいいところだと思うよ」
「ヒュー。やっぱり一真は私のことがよくわかってるねえ」
兄ちゃんは毎回毎回小言ばっかで嫌になるよ。一真みたいにもっとおおらかな心が持てないもんかね。
「・・・ほんとに一真は明日香に甘いなあ。・・・まあ、いいや。それよりお前ら、これ、日給だぞ」
「おー。センキュー、兄ちゃん」
「ありがとうございます。亮さん」
さーて、今日はいくら入ってるかなー。まあ、今日は引っ越しの手伝いだったから、さぞたくさんのお金が・・・・・・。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「一真さん、一真さんや」
「なに?明日香」
「つかぬことをお聞きしますが、給料はいくらでしたか?」
「ん?えーと一万八千円かな。まあ、何でも屋の日給だから、普通のバイトの日給よりは多いほうだよね。仕事のない日の方が多いけど」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「お兄様、少々よろしいでしょうか」
「なんだ、わが妹よ」
「私の目がおかしいのでしょうか。封筒に一万円しか入っていないのですが」
「それが今日のお前の給料だからな」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「なんでよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
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