短編小説:友情を引き裂かれる女

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短編小説:友情を引き裂かれる女

遠距離交際の彼がいた。 その彼とは一度も会った事が無い。会った事が無いだけならまだしも、チャットのやりとりですら、まともに成り立ったことが無い。その彼が急にテレビに映っていた。だから驚いた。 「あっ」 私は、友達と一緒にご飯を食べている途中で、彼が突然テレビに映ったから驚きの声をあげる。食べかけのワッフルを中途半端に吐き出したものだから、正面に座る友達がかなり怪訝に文句を言う。そこまでは私も覚えているのだが、その直後、頭と肩に強烈な痛みを感じて意識を失う。そこまで。そこまでは私の理解していた世界。 気がつくと、私は全裸で縛り上げられていた。殺風景な部屋に竹刀や棒切れを握りしめた男が数名、私を取り囲んでいる。私は咄嗟に状況を認識する。少なくとも幸せな状況では無い。何やらヤバイグループに、かなり異常な世界に拉致され、かなり酷い事をされている事に気がつく。 横を見ると、私とさっきまで一緒にご飯を食べていた友人が、今まさに下半身を裸にされようと、スカートの中に男達に手を突っ込まれていた。怖さで完全に怯えていたのであろう。友人は声ひとつ出さない。     
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