短編小説:友情を引き裂かれる女

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果たしてその時間がどれだけ経過しただろう。私の好きだった彼がテレビに映っていた、そこを思い出す。 (そこまでは、なんだか普通のランチだったよな) 自分自身の置かれた状況が、単に客観的に他人事のように思えてならない。何故自分なのか。何故こんな状態に追い込まれたのか。全くわからない。 隣にいた友人も、自分と同じように男たちによって完全に裸体にされていた。友人はとても華奢でお嬢様育ちであった。夢見る少女のようなタイプで、素肌は絶対に結婚相手にしか晒すことを認めない。そんなタイプだった。だから、その友人の裸を見る事にはかなり抵抗があった。 しかし、暴漢達はそれ以上の事はしてこなかった。そして、丸一日経過した後、彼らは私達に解放を告げる。そして解放を希望する場所ですら、提示しろと言うでは無いか。 迷わずに、元いた場所。そう、友人と一緒にご飯を食べていた場所を言う。 しかし、友人は違った。チベットの山奥を解放場所として指定する。 「何で?」     
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