第15話 音

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第15話 音

 第二校舎 3階 「勢いで学校に来てしまったけどどうしよう・・・」 俺が扱える力は魔力探知には向いていない。 巨大な反応ならば大体の位置は特定できても、微小なものであれば気づくこともできない。 『主天六導』に探索や情報収集が得意な人がいるが、彼女も別任務で忙しいだろうし。 「せめて痕跡だけでも見つけられれば別なんだけど。」 学校に着くまでに他のチェックポイントにも足を運んだが手掛かりと言えるものは見つけられなかった。 (教室一つ一つ見ていくしかないか) 教室の扉に手を掛けると パキッ 「?」 どこかで何かが割れるような音が聞こえた気がする。 「何か落ちた音かな?」 机に置いてある実験器具でも落ちたのだろうか、だけどガラスの音とは少し違う気もした。 俺は目を閉じて意識を聴覚へと集中させる。 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ィィン・・・ 「っ!」 確かに聞こえた。 だけど聞こえてくる方向は教室ではなく 「グラウンド?」 グラウンドといってもこの学校には授業用、野球場、サッカー場、陸上競技場の4か所があり、後者ほど校舎から離れた位置にあるため移動に時間が掛かる。 だけど行くしかない。 俺は急いで外へ向かうことにした。
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