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第16話 禁じられた召喚
陸上競技場
公式大会で利用されるものと比べると小規模であるが設備はそこそこ充実している。
詳しいことは知らないが、走者の足の負担が軽減される工夫がなされているとか。
「やっぱりここか。」
俺は競技場の中心、その頭上を睨みつける。
空間の綻び
人一人分の大きさはある亀裂が生じ、少しずつ穴が広がっているのが見てわかる。
そして今もなお物が割れる音が響き渡っている。
「これは何だ?」
通常、魔術・魔法は発動と同時に陣を形成しそこからエネルギーが放出される。
しかし目の前に陣らしきものは存在しない。
「無人の状態でコレが継続されているなんて、聞いたことがないぞ。」
だが稀に陣が形成されずに亀裂が生じるケースが数件確認されている。
考えられる要因は以下の3つ
1.その術を発動するのに術者の力量が不足していてエラーを起こしているとき
2.魔力が暴走している状態で無理矢理術を発動させようとしたとき
そして3つめ
禁術発動時
「っまさか・・・!」
気付いた時にはもう遅かった。
空中の亀裂は歪に変形して、いや違う
人ならざる者の手が内側から亀裂を掴み、無理矢理こじ開けていた。
リイイィィィィイィ・・・・・ィィン
風鈴とガラスの砕けた音が混ざり合い、心地悪い振動が鼓膜へ伝わる。
そして、俺は目の前のソレを目の当たりにし息を呑む。
5mはある四足歩行の獣
体毛越しでも分かるほど隆々とした筋肉、両足には鋭利な爪が赤黒く輝く
獅子にも似た顔は半分溶けて崩れて落ち、血走った瞳が不気味さに拍車をかけている
嫌というほど伝わってくる怨念と殺意
これは
「根源禁書の・・・悪魔。」
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