第17話 根源禁書の悪魔

1/1
前へ
/50ページ
次へ

第17話 根源禁書の悪魔

 『根源禁書』 遥か昔、砂漠地の中央に階層を成す谷間が発見された。 探索を進めるとそこには地上には存在しない生物や鉱石が確認された。 そんな中偶然か必然か掘り起こされたのがこの書物である。 年代不明、製作者不明のそれは当時の発展途上段階では手に負えないほど驚異的な術が記されていた。 現在までに発掘されたのは計55冊。 どの書にある術も発動方法と効果内容が非人道的であったため、人の手に渡らないよう必ず封印して特定の場所で監視下に置くことが義務付けられている。 しかし  「ォォォ、、、ォォォォ、、、!」 悪魔は飢えた目で俺を瞳に映している。 捕食か、殺戮か、嬲りか、快楽か、その全てか やつは何を思い何を求めているのだろうか、俺には想像もできない。 ただ一つ分かる事は 「油断が死に直結すること。」 俺は悪魔から目を逸らさないまま、頬に伝わる脂汗を拭う。 俺が『主天六導』に任命されたばかりの頃、先輩魔法士の講習を受けたことがある。 その中に根源禁書の内容も含まれていた。 「恐らくあの亀裂は現世と魔界を繋ぐ門。」 更に注目するべきはやつの顔 まるで濃硫酸でもかけたようなただれ方、すぐにでも肉塊が崩れ落ちそうである。 「腐蝕の悪魔」 その爪に触れる者は肌が爛れ、その牙に触れる者は肢体が腐り落ちる 禁書に記されている一節である。 つまり、相手に触れられれば即アウトという訳だ。 「■..■■■....■」 紡がれる呪詛、やつの口内が汚い緑で鈍く輝きだす。 まるで何かをため込んでいるかのようである。 「っ!まずい!」 俺は脳がそう判断すると同時に大きく真横に跳躍した。 それから1秒も満たないでやつの口から光線のようなものが放たれる。 シュゥゥ... 光線が触れたレーンが音を立てて溶ける、否、悪臭を放ちながら腐っていく。 「これ合成ゴムだろ!?」 やつは生物だろうが非生物だろうが関係なく対象を腐敗させるようだ。 「これはちょっとまずいな・・・」
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加