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第18話 悪戦苦闘
俺は両手を広げ一小節謳う。
『肉体強化 ―対腐敗防御―』
まずは護りの魔法を自身にかける。
相手は悪魔、完全に防ぎきれないのは分かっているが無いよりマシだ。
次に攻撃だが、正直自信がない。
「■..■■■....■」
また来る!
俺は先ほどと同じく横に避けようとして
「■■■....■..■■」
「さっきのと違う?」
一直線に来るはずの光線が拡散し、広範囲にわたって放たれる。
そのうちの一つは当然俺の方に跳んできて
『二重血壁』
俺の前を遮るように透明感のある紅い障壁が二枚展開される。
腐敗をもつ光線と障壁が互いを削り合い、金属音にも似た不協和音を奏でる。
しかし次第に一方が勝っていき、もう一方は悲鳴を上げるように崩壊を始める。
「まさか・・・突破される!?」
一枚目がドロドロと溶けていき完全に消失する。
そして二枚目も同じく溶かされ始め少しずつ俺に近づいてゆく。
「ちっ!」
俺は滑り込むように横に回避。
襲い掛かる光線をギリギリのところで躱し、俺は地面に転がった。
「はぁ・・・はぁ、」
早まる心臓の鼓動を無理矢理抑えつけ息を整える。
先ほどまで経っていた場所は抉られるように腐敗していた。
もしあのまま動けないでいたら、考えるだけで恐ろしい。
「相手が悪すぎる・・・!」
歯ぎしりをし、この上ない不安に駆られる。
このまま長期戦にもちこんでも時間の経過とともに追い込まれるだけ。
ならば狙うは早期決着である。
しかし今の状況ではいくら攻撃を重ねても致命傷にも追い込めないだろう。
残された方法は一つ
「本当は使いたくはなかったのだけれど。」
俺はポシェットから一つの赤い石を取り出す。
それは転移初日に国王から大量に送られてきたものだ。
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