第3話 段ボールの中身

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第3話 段ボールの中身

 「取扱注意」と書かれた段ボール。 その中に入っている封筒の中身を確認する。 まずは一通目。 そこには俺がこれから通うことになる学校に関する書類が入っていた。 私立大三月高校 教育研究校に抜粋され、広い敷地面積と恵まれたネット環境が特徴。 生徒の平均偏差値は65~70と高く、部活動も盛んに行われている。 「へーいい学校みたい、ちょっと楽しみかも。」 もしかして部活やらないといけないの?という疑問を振り払い、更に読み進める。 俺の入る教室は特進クラスのため、常に成績を上位でキープしなければならないらしい。 「大丈夫かな?この世界の勉強は少し自信ないけど。」 任務と勉強の両立に不安を覚えつつ次の封筒に手を伸ばす。 中を確認すると白紙が5枚ほど入っていた。 「これは秘匿文書か。」 俺は白紙に意識を集中させ、魔力を流しこむ。 すると少しずつ文字や図が浮かび上がってきた。 情報漏洩を防ぐために、特定の人物の魔力のみに反応する仕組みになっている用紙だ。 「魔力の発生地と規模?」 書類には今までに魔力が発生した細かい位置や、魔力の大きさが詳しく書かれていた。 「休日はこの地点に行ってみないと。」 俺は送られてきた書類全てに目を通し、片づけを始める。 そこでふと思い出したことが。 「そういえばもう一つ何か送られてきてたな。」 俺は段ボールをもう一度開け、それを取り出す。 布袋だが、中に物がパンパンに詰められているのか少し重い。 紐をほどき床に中身をぶちまけるとジャラジャラと音を立てて床に落ちていく。 それは赤い石だった。 綺麗な立体的な楕円を描き、全て同じ大きさに揃っている。 見た目は宝石のルビーに酷似しているが、色に透明感はない。 むしろ赤く濁っていて、どこか不気味な印象を覚える。 「・・・これは」
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