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建国の伝説。死にやすく魔法の扱えない男。
他にも様々な要因が合わさり、イシュクでは女子にのみ王位継承権を与えられるのが慣例となっている。
そしてハーリカは、直系傍系関わらず王家の血を引く唯一の女子であった。
「諦めてはなりません。もうすぐ医官が来ます。お気をしっかり持ってくださいませ!」
女王を励ますシェナイの声には、隠しきれない恐怖が滲んでいた。
医官がもうすぐ来るなどありえないと、彼女にも分かっていたのだ。
先代女王が不審な死を遂げる直前に起こった国境での小競り合い。
勝利を収めはしたが、民に多数の犠牲が出てしまった。
そのことに心を痛めた幼い女王の希望とタイミングが良すぎる侵攻の原因を探りたい宰相の思惑が一致し、女王自ら慰問が決まった。
その結果が、これだ。
目的地への道中で正体不明の一団から襲撃を受けた。
護衛としてついてきていた一部の騎士が敵に加勢したこともあり、なんとか敵を退けた時には半数が死に、残りも負傷者だらけという有り様。
さらには混乱に乗じて女王に矢を射掛けた者がいた。
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