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2.褒美
「此度は世話になりました。ありがとうございます」
「もったいないお言葉です」
男が調合した薬のおかげでハーリカは助かった。
熱が下がり身を起こせるようになったのは翌日のこと。
涙を浮かべて喜ぶシェナイ達から事情を聞いた彼女は命の恩人を呼ぶよう指示した。
男はすぐにやって来た。
昨日と同じくくたびれた服を着ていたが、平伏する所作は洗練されており、それにハーリカの疑念が強まった。
命を助けてくれた相手だ。感謝はもちろんしている。
だが、あまりにもタイミングが良すぎるようにも思えてならなかった。
殺された医官。最寄りの町にはすぐにかかれる医官はいない状況で、たまたま薬草を扱う行商が居合わせる。
偶然だと信じるには些か無理があった。
今の女王には敵が多い。
彼女以外王位に就ける者がいないのに、命を狙われるほどに。
「命を救われたのです。その働きには報いねばなりませんね。褒美は何がいいかしら?」
内心抱く疑いを欠片も感じさせない柔らかな笑みを浮かべ、ハーリカは頭を下げたままの男に尋ねる。
毒に侵されていた時の気弱さはどこにもない。
「望みのものはありますか?」
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