序章 俺と千咲は双子です

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§6  俺が買い物をして帰ったところ、既に千咲の自転車が玄関前に停めてあった。  どうやら先についたようだ。  鍵を開けようとして既に開いていることに気づく。 「お帰りなさい」 「ただいま」  そう言ってから付け加える。 「俺が帰るとわかっていても鍵は閉めておけよ。最近この辺にも空き巣が出没するらしいし」 「はいはい」  今一つあてにならない返事だがまあいいだろう。  俺はまず取り敢えず自分の部屋に寄って制服を着替える。  この家は元々は母の実家で部屋数が多い。  1階だけでキッチン、リビング、リビングと一体となって使っている8畳間、俺の部屋、父の部屋、客間がある。  何故母の実家に父が住んでいて母がマンションに住んでいるかの理由は簡単。  離婚した際、広すぎて不便だと母が自分からマンション住まいを希望したからだ。  そんな訳で普段は父と俺が住んでいるがやっぱり2人には広すぎる。  使っているのは1階だけで2階の4部屋はほとんど使っていない。  家が傷むと困るから毎日風通しだけはしているけれど。  制服とズボンをハンガーに掛けて家の中用のトレーナーとスエットパンツに着替えてから、脱いだ服類と買い物袋を持ってキッチンへ。     
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