序章 俺と千咲は双子です

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 うちはキッチン横に洗濯機があるので脱いだワイシャツ類はその中へ放り込む。  あとは買ってきたものを冷蔵庫に入れるなり何なりしてと。 「今日は夕食は何?」  リビングの方から声が聞こえる。 「生姜焼き。豚が安かった」  多めに作っておけば明日の弁当にも流用できる。  まずは炊飯器を早炊き1.5合にセットし、ささっと生姜焼きとキンピラを作る。  野菜は冷凍のオクラを茹でて、適当にちぎってレタスの上に乗せてと。  冷や奴を皿にのせて瓶のなめたけの中身を豆腐の上に乗せれば夕食完成だ。  炊飯器から炊飯完了の電子音が流れる。  最近は慣れたもので炊飯器の早炊きと同じ早さで夕食を作れるようになった。 「出来たぞ、取りに来い」  2人分だと皿の数が多いので1人では持ちきれない。 「はいはい」  出てきた千咲の格好にちょっと俺は頭痛を感じた。 「あのなあ、もう少し真っ当な格好をしてくれよ」 「家だといつもこれだけれどな」  制服の上着とスカートを脱いだだけの姿だ。  つまり上はブラウス下はパンツ。  この場合のパンツとはズボンという意味では無い。 「いいじゃない。私は気にしないし」  俺は気にするの! 「それに妹でも姉でも恋人でも問題無いでしょ」  一つ余分なものが入っている。 「どさくさに紛れて付け加えるな」     
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