序章 俺と千咲は双子です

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 けれど俺に対してのみ重大な欠陥がある。  中学時代の俺はシスコンと呼ばれていた。  システムコンピュータの略では無論無い。  理由は簡単だ。  千咲に四六時中ひっつかれていたから。  そう、姫路千咲は俺こと網干千早(あぼしちはや)の妹。  厳密に言えば二卵性双子の片割れ同士である。  両親が離婚して俺は父方へ、千咲は母方へ。  今では違う姓になっているが、元は家族。 「手を繋ぐくらいいいじゃない」 「これ以上俺をシスコンにする気が」 「愛があればそれくらい」 「愛があっても法律が許さないの!」 「なら妹設定じゃなくてお姉さん設定がいい?幼なじみの方が萌える?」 「自分の設定を変えても兄妹なのは変わらない」 「それくらい無視してくれてもいいじゃない」 「良くない!」  早く千咲(こいつ)にはふさわしい相手を見つけてやらないと。  このままでは俺の自制心が危ない。  妹だという意識があるから今のところ何とかなっているけれど。  そもそもこの学校を選んだのも千咲と別な高校に進学するため。  千咲の中学3年4月時点では無理な難易度の荒川学園特進Aを選んだのだ。  違う学校やせめて違うクラスならこれ以上俺が困ることが無い。     
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