序章 俺と千咲は双子です

20/21
前へ
/85ページ
次へ
 奴が身体を洗っている時点でそそくさ逃げるのが最善だ。 「失礼しまーっす」  入ってきた千咲をあえて無視。 「どう、最近大分胸も育ったんだよ」 「はいはい」  視線をそっちに向けないで返答する。 「何なら触って確かめる?」 「別に」 「もう、つれないなあ」 「妹だからな」  そう、千咲はあくまで妹。  自分に言い聞かせる。  そんな訳で千咲が髪を洗い始めた時点を見計らって、そそくさ退散。  ちらっと色々見えたけれど徹底的に無視だ。  確かに最近育った気もするけれどさ。  あくまで妹だし気にならないぞと自分に言い聞かせる。  タオルでささっと身体を拭いて服を着て、キッチンへ逃げる。  千咲は妹だという意識があれば、裸が見えても大丈夫。  そう、千咲は可愛いけれどあくまで妹なんだ。  そう自分に言い聞かせておく。  例え兄妹でもこの年で一緒に風呂には入らないという常識はこの際無視だ。  明日の弁当用に取っておいたおかず類が冷めたのを確認して冷蔵庫へ。  自分の脱いだ服やタオル等を洗濯機に放り込む。  洗剤を入れてボタンを押しておく。  千咲は割と長風呂だから、出るまでには洗濯も終わるだろう。  2階の窓を閉めて洗濯物を自分の部屋に持って行って干せば、家事は完了だ。     
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加