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§2
一番右の前から2番目。
名簿によると僕の前に似座っているのは明石俊君。
彼がこのクラスに合格してくれたのは幸いだった。
おかげで臨時の号令係とかはやらなくて済みそうだ。
ア行で始まる名字の人間にはそういうトラウマが存在する。
臨時の号令係とか委員長とか日直とか。
ちなみに明石君とは初対面。
きっと入試の時にはいたのだろうけれど覚えていない。
見かけは細身の人の良さそうな奴だ。
「ども、初めまして。今後宜しく」
とりあえず挨拶をしておこう。
同じクラスで3年間の付き合いになる筈だしさ。
「こちらこそ。何処の中学?」
正しい反応を返してくれた。
大変話しやすくて宜しい。
「こっちは鷺崎市南中。そっちは?」
「楓市中央。どっちも微妙な距離だな」
学校の最寄り駅からどちらもJRで2~3駅離れた場所だ。
「まあね。楓市なら東勝鹿は受けたのか?」
「合格したけれどこのクラスの方がレベルが高そうだから」
そんな感じで受験の話をちょっとした後。
「ところで一緒に来た女の子、あれ彼女か?」
いきなり聞かれた。
「名字は違うが双子の片割れだ。両親が離婚してさ」
「そうか、悪い事を聞いたな」
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