序章 俺と千咲は双子です

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 明石君は申し訳なさそうな顔をする。 「いや、うちの場合は全然悪くない。今でも家族一緒に夕食食べに行ったりするし」  そう。  離婚した今でも父母ともに仲はいい。  離婚理由は性格の不一致。  何でも世話したがりな母と自分の事は全部自分でする主義の父。  幾度も話し合いと試行錯誤をした結果。  離婚した方が平和かつ仲良く暮らせると判断した模様だ。  ちなみに今こそ家は離れているが、父母の仕事場は今でも同じ。  父が経営して母が経理を担当する貿易会社だ。  社員も何人かいるが基本的に2人で会社を回している。  今でも仕事が忙しいときは千咲と一緒にどっちかの家に泊まらせられる。  そんな状況だ。  親には何で離婚したんだよ別居で充分じゃないかよと深く追及したい。  言っても無駄とは百も承知だけれど。 「取り敢えず離婚して別居しているけれど普通に仲は良いんだ。世の中の深刻な離婚家庭に数百回怒られてこいと言いたいレベルで」 「何かしらんが苦労しているのはわかった」  察しが良くて助かる。 「それじゃ彼女ではないんだな」 「単なる双子の妹だ」 「似てないな」 「二卵性だからな」  明石はうんうん頷いた。 「よしよしチェックと」  むむっ。 「何をチェックしているんだ」     
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