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八家さんが言葉に若干含蓄含んでそんな事を言う。
とっても嫌な予感がした。
回りを見る。
わざわざ席を移動してまで一緒に食事をしているのはここだけだ。
なにせ入学初日、そこまで各自仲良くなっていない。
だからとっても目立つ。
嫌でも注目されているような気がする。
何かもう勘弁して欲しい。
「さて、御飯にしましょう」
「はい、千早のお弁当」
千咲が容器2つと箸箱を俺に渡す。
ちなみに弁当箱のデザインは千咲のとおそろいだ。
ちょっとお洒落なお鍋の形をした大小2つのタッパー。
俺のが白色、千咲が赤色と色違い。
今日の中身は大きい方が焼き鳥丼、小さい方が野菜サラダだ。
千咲のも全く同じ。
「お弁当の入れ物も中身もおそろいなんですね」
「その方が作るの簡単だしね」
「それって千咲が作っているの?」
「大きい方がお母さん。サラダの方は私」
「凄ーい、愛されているな、千早君は」
愛されていると言ってもなあ。
それに実は両方とも母が作っていると思うぞ。
「ちなみに同じお弁当があと2つ、お母さんの分とお父さんの分も」
「そっか、離婚してても仲いいし同じ会社なのですよね」
皆さん色々諸事情も御存知のようだ。
俺は諦めて静かに焼き鳥丼の方を食べ始める。
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