序章 俺と千咲は双子です

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序章 俺と千咲は双子です

第1話 高校生活1日目 §1  4月7日火曜日、入学式の日の朝。  俺達はまだ着慣れない新しい制服で、人混みのなか掲示板の名前を探していた。 「千早(ちはや)!ほら、同じクラスだよ!」  俺の背中にひっついた状態で姫路(ひめじ)千咲(ちさ)が指を指す。 「特進Aは1クラスしかないから当然だろ」  合格して入学してしまった以上、同じクラスになるのは当たり前だ。  それでもクラス発表を見に来た理由は簡単。  教室の場所やクラス名もここに表示されているから。  特進Aは内部では1組、場所は1階の101教室。 「じゃあ行くか」 「うん」  掲示板の人混みを離れつつ、千咲に注意。 「あと背中にひっつくのやめろ」  背中にひっついで腕を回した状態の千咲を引き離す。  入校初日から変な噂を立てられたら困るのだ。  俺より10センチ近く背の低い千咲が俺の方を見る。  濃い栗色の髪をツインテールというか2つにまとめていて、その下からやや幼めの顔立ちに大きい目が覗いている。  運動方面は今一つだが成績も優秀。  顔も可愛いが性格も悪くない。  やや煩いところもあるけれど。 「なら手を繋ごうか」 「それもいいから」  普通なら彼女として文句無い。     
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