※解説:その時の面白さと、後から解る面白さ※

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/486ページ
 小説に限らず、漫画、ドラマ、映画などの創作には、かなり大雑把に二つのタイプがあります。  それは『その時々が面白い作品』と『全体を通して面白さが解る作品』です。  これはどういうことかというと『その時々が面白い作品』というのは、例えばコメディーやアクションといったジャンルの作品です。  短時間で読者の興味を惹く要素を詰めたり、笑いを取ったり、とにかくその場で解りやすい面白さを提示することで、常に読者を維持する作品です。  ネット小説や週刊連載の漫画などはこの傾向が強いです。これは他にも競合作品がいる中で、如何にして自分の作品に読者を集めるかが大事だからです。  反対に『全体を通して面白さが解る作品』というのは、主に恋愛やミステリーなどのジャンルです。  恋愛なら恋が成就するかどうか、ミステリーなら謎がまさに解明される場面。いわば見せ場までのお膳立てを積み重ね、いかにして最後の感動を大きくするかということに重点が置かれます。  これらのジャンルは単行本や月刊誌、あるいは映画などに向いているでしょう。ある程度物語が最後まで見てもらえる保証がなければ、面白さを提示するより前に見限られてしまう可能性があるからです。  言うなれば『その時々の面白さ』を追求した作品というのは万人受けする作品であると言えるでしょう。コアな人気の作品は『全体を通した面白さ』に気づいた人がその味わい深さを評価したものと考えられます。
/486ページ

最初のコメントを投稿しよう!