とある紳士の優雅な午後

穏やかな庭で

なんで芝刈り機がしゃべっているかって？

じゃあ逆に聞くが、どうして人間は話すことができるんだ？特に深く考えたこともないだろう？それと同じだ。私が話していることに特に明確な理由など無いのだよ。

それより、君はこの家の住人ではないだろう？確か、ここには品の良い淑女と数人の使用人だけだったと記憶しているんだが。

あぁ。あの淑女の親戚なのか。それでここへ遊びに来たと。彼女は大変いい人なのだが、少々怖がりでね。私も話しかけるのをためらっていたのだよ。だから、君が来てくれたことは本当に嬉しい。ここにいる間は仲良くしようじゃないか。

だいぶ今の状況を飲み込んできたみたいだな。ああ、そうだ。いくら考えても答えは出ないからな。今の現状を受け入れて、楽しめばいい。

さっき話した「話し相手がいない」というのもここの主が亡くなってからなんだよ。いやぁ、実に退屈な日々だった。君がいなければ、私は虚しい午後を過ごすばかりだったろうな。さあ、横に座って。一緒に語り明かそうじゃないか。