穏やかな庭で

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……そうか。ここへ来たことを嫌なことから逃げてしまったと感じているのか。確かに君は現実から逃げているな。 いや違う。君は決して弱虫などではない。それは私が保証する。ただ、君は抱え込みすぎたんだ。1人になったことで誰にも頼ることができず、自分の中の辛い感情を溜め込みすぎたんだ。 辛い感情はどこかに吐き出さなければ、自分自身を蝕んでいくばかりだぞ。誰かに話すことは自分を守ることにつながる方法の1つだ。君自身、私に話して少し楽になっただろう? それに、逃げることは決して恥ずべきことではない。君たち人間は他人を気にしすぎている。逃げてなにが悪い。自分を守ってなにが悪い。逃げることも立派な選択の1つだ。自分の選択には自信を持っていい。他ならぬ君が選んだ選択なんだ。間違っているはずがないさ。 しかし、逃げたからにはいずれそれと向き合わなければならない時が来る。逃げ続けていても、それは必ず君の前に立ちはだかる。だから、逃げる道の中で仲間を見つけろ。自分と共に歩いてくれる仲間を。確かにそうそう見つかるものではないだろうが、人間は1人では生きていけない生き物だ。君のそばに寄り添ってくれる存在がきっと現れる。実際、私もその1人だしな。いや、この場合は1台なのか? まぁ、とにかく。ここでの時間は、君の心に少なからず安らぎを与えたはずだ。私もとても楽しい時間を過ごせた。この時間は暖かな灯火として君を照らしてくれるはずだ。何か辛いことがあれば、私や彼女のことを思い出せ。君を必要とした芝刈り機と淑女がいるということを、決して忘れないでくれ。 君は……私の大切な友達だ。主と同じくらいにな。
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