二階から目薬

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              ☆★☆★☆  「どうすればいいと思う?」  「は?」  時は日曜、場所は玄関。  一週間の激務による蓄積疲労を昼過ぎまで貪った惰眠で帳消しにしようと木曜日あたりから固く心に誓っていた俺の思惑を、午前六時を回るか回らないかという段階で早々に粉砕せしめた女がドアを開けるなりそう言った。  主語だ述語だがない云々以前に、脈略がない。  いや、というよりもコイツのことだから思いつくまま喋っているだけで計略も考えも初めからないんだろう。  ないついでに言わせてもらえば、日曜日の穏やかな朝、安普請のマンションの呼び鈴をあんな風に連打すれば隣近所さんにご迷惑をおかけすることになるだろうという配慮も遠慮も思慮もなければ常識だってない。  服装だって流行りでもなければサイズも微妙に合ってない……そもそも俺の部屋から勝手に持って行ったまま返す気も色気も袖もないTシャツ姿。  「…………」  ここまで言えばわかるだろうけれど、毎日を限りなくブラックに近いグレーな会社と、ホワイトなようでどこまでもブラックに見えてしょうがない社会の循環のために身を粉にしている勤労青年に対する思いやりなど、もちろん一かけらもこの女にあるわけがなかった。     
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