二階から目薬

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 「この時期の牛乳は傷みやすいからあんまり買いたくないんだよ」  「昔から私のアイスのお供といったら牛乳だって知ってるでしょ?気を利かせて常備しておきなさいよ、もぉ」  「その昔から言ってると思うけどアイスのお供に牛乳はあり得ないから」  「なんでよ?甘ったるくなった口のリセットに牛乳の爽やかなのど越しは必要不可欠でしょうに」  「だったら大人しく水かお茶を飲め。リセットどころか乳脂肪分ブーストしてんじゃねぇか」  「水なんか飲んだら口の中がさっぱりしちゃうじゃない」  「……お前が何を言ってるのかが俺にはさっぱりだよ……」  「だからぁ、アイスを食す時……もっと言えばそれがお高めのアイスである時……迎え撃つ方もそれなりの気構えを持ってして臨まなければいけないと私は常々思ってるわけ。具体的に言えばこの直情的な甘さを感じる舌も、しっとりと溶かす口の粘膜も、糖分を吸収する細胞も、そして心も、すべてをアイス仕様に調整しなければ失礼にあたるでしょ?」  「……いや、あたらんと思うけど……」  何様だよ、アイス。    取引先?取引先なの?  俺が電話で無意識に頭を下げてへりくだってしまうお得意様と同列なの?     
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