2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
私は7才の時に父親を亡くしている。記憶の中の父はいつも笑顔で優しくて温かかった。
そんな父は7年前私の入学式を見ることなく此の世を去っていった。
父はがんだった。幼い私はそれが分からなかった。
優しい父が亡くなってから私は人に接する事が出来なくなっていった。
小学校ではいじめられた。授業参観が辛かった。
中学校は知っている人が誰もいないところを受験した。友達も少しだができた。でも私はいつも作り笑いだった。
何度も死のうと思った。でも死のうと思うたびに優しい父を思い出した。私は結局生きている。
私は何故生きているのか分からなくなっていた。次こそは死のうと思ったそんなときだった。
あの珠を拾ったのは。
あの日私は用事がなかったので学校から帰るのが早かった。だから少し海に寄ったのだ。海には誰もいなかった。その海は孤独だった。私はこの海と同じなんだなと思った。そして海を眺めていた。私がふと海岸を見るとそこに光る珠が落ちていた。私はそこへ行きその珠を拾った。
その珠は優しい紫色をしており何故か温かい感じがした。しかしその一方でどこか冷たいような気がした。私はこの珠が気に入り、持ち帰ることにした。
家に帰ると私はまず今日の出来事を父に報告しようと思い仏壇に向かった。拾った珠のことも報告しようと鞄の中から珠を取り出し仏壇へと向かった。いつも仏壇へ向かうとき毎回 父に逢いたいと思ってしまう。7年間ずっとである。今日もいつもと同じように父に逢いたいと思いながら仏壇へと向かった。
すると、今日拾ったあの珠が輝き始めたのだ。そして周りが強い光に覆われた。私が目を開けるとそこは草原だった。小さな白い花が一面に広がっていて、その中心には大きな桜の木が美しい花を咲かせていた。
私はその景色に目を奪われた。
美しい。
それ以外の言葉が出てこなかった。自然と涙が頬を流れた。
私は桜の木の下に誰かがいるのに気が付いた。
その人物を見た私は言葉が出てこなかった。
なぜなら...
最初のコメントを投稿しよう!