第2章 冒険の日

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第2章 冒険の日

「ふぅ…」 森の奥の食堂。 そこの看板はCLOSEとなっていた。 今約8時頃でお開きになっている。 中では黄色い髪の少女が椅子に腰掛けて一息をついている。 「今日のお客様は12人か…」 昼11時から夜8時まででお客様12人だったのでこんな立地だからいいとも悪いとも言えないが、もう少しお客様を増やしたいとも思う。 コンコン 扉がノックされた。 私が「どうぞ」というと扉が開いて入ってきた。 帽子を深々とかぶり、ボロボロの服を着た男の人だ。 私はこの人が誰だか知っている。 「アルトさん!こんな時間にどうしたんですか」 この人はアルトさん。私に食材を持ってきてくれる素材収集家の一人なのだが… いつも取引の時間は日曜日の開店前。 そして今日は月曜日。 こんな時間にここに来るなんておかしいのだ。 「実はそこで奇妙なものを捕まえたのだが…」 アルトさんはそれを見せてくれた。 しっぽを掴まれジタバタしていて可愛い。 「離せー!私は偉大なるカーバンクルだぞ!」 「カ、カーバンクル?」 カーバンクルとは、 伝説上の生物で。その姿は「燃える石炭のごとく輝く鏡を頭にのせた小さな動物」と言われている。 「なんで伝説上の生き物が…」 見た目はリスに近い。 伝承の通り頭にルビーのようなものが埋め込まれている。 「私を怒らせるとどうなるかわかってるのかー!そのーなんだ、あのっひどいぞー」 「可愛い!もらっていい?」 目をキラキラさせながらこの動物を見つめる。 「いいけど餌とかわかるのか?」 「あっ!」 餌のことを忘れていた。 伝説上の生き物は一体何を食べるのだろうか。 「餌って言うな!僕はなんだって食べられるぞ!」 だいぶ怒っているようだ。 でもそんなところも可愛い。 そんなこんなでアルトからカーバンクルをもらって、 今は名前をつけようとしている。 「なんて名前がいいですか?」 「何でも構わん、名前を僕につけられることを誇りに思い心を込めて考えるんだ」 「うーん…それじゃあ…ルビーなんてどうかな」 「安直だな」 「うっ…」 なんてことで、新しい仲間が増えました。
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