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――朱の砂漠。翠の森。鈍の海原。群青の空。わたしはどこにいても貴方だけを見つめている――
ゴーン……ゴーン……ゴーン……
キィィィィィィンンンンン……
そこで目の前に転がる黄色の球体が発光します。
内側からゆっくりと……それでいて確実に。
雨色と夜色が満たした視界に、黄色い光が混じり込みます。
ええ、黄色。
宵の暗闇の中で一際輝くその光は、黄金のようにも白光のようにも例えられそうですが、やはりどこまでも純粋な黄色。
その『黄』という色自体に、何某かの譲れぬ意味合いでもあるかのように、愚直に光は黄色く瞬きます。
――虚ろなる銀。徒然なる金。忘却の白。孤高の黒。深淵なる無。深長なる有。貴方がどこにいてもわたしは見つけてあげる……――
ゴーン、ゴーン、ゴーン……
キィィィィィィンンンンン……
――小さな貴方のキレイな右手。小さなわたしの汚れた左手。それでも繋いでくれるなら。それでも愛してくれるなら。わたしは何も怖くない……――
……なんでしょう。
この詠唱……。
込められた魔力量の多さといい、質の高さといい。
詠唱に内包された深い深い世界観といい。
あらゆる魔術を知り尽くしたと自負している天才のわたくしの知識をもってしても初めて耳にするものです。
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