四章・雨色に染まる異世界生活~ARURU‘s view~

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 思わず聞き惚れてしまうほど、美しい言葉の連なり。    優美にして華麗にして、なんと広大で壮大な詠唱なのでしょう。    どんな事象が巻き起こるのか、わたくしごときでは想像も尽きません。    ですが……なんでしょう。    ――あの日の夜空を覚えてる。儚く咲いた夜の花。燃えて散るのが定めでも。わたしは散らない花となり。永遠に貴方の中で咲き乱れましょう……――  この詠唱に込められた想いは。    物語の中や術者の感情云々というよりかは、『術』の一文字一文字に込められた想いは。    ただ『貴方』という人ひとりにだけ向けられた想いは。    なんとなく、わかります。    女として……そう、『術』の中に出てくる方と同じ女として、わかってしまいます。  これはひとえに『愛』の詠。    深そうで広そうで、その実、単にたった一人へと向けた『愛』の詠。    ええ、恋ではなく、あくまでも『愛』。    異性としての恋愛感情など軽々と超えた、もっと強くて、最も純粋な単なる愛情。    なんて切なくて、なんと一途な想いでしょう。    なにか抜き差しならない事情があって、傍にはいられなくなった。    いつまでもその右手を繋いであげていたいのだけれど、放さなくてはならなくなった。       
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