四章・雨色に染まる異世界生活~ARURU‘s view~

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 それでも『わたし』はずっと『貴方』の傍にいる。    どれだけ離れても。二度とは触れ合うことが出来なくても。    ――わたしはいつでも見ているから。……――    この『愛』だけはそこにあることを忘れないで。    ――わたしはいつまでも傍にいるから……――  『貴方』は一人じゃないということを……決して忘れないで……。  ――貴方を……――  あなたを……守ってあげるから。  キュイイイイイィィィィィィンンンンン!!!  バキィィィィィィンンンンンン!!  黄色の輝きが爆ぜます。    その瞬間、世界にはただその鮮烈な黄色だけしか存在しなくなります。    降りしきる雨も。  夜の帳に覆われた街も。    遠くに見えるイチジ様の背中も。  首がひしゃげたドラゴンの亡骸も。    転がる球体も。  寝そべるわたくしも。    嘆きも、痛みも、邪気も、無邪気も、悲劇も、喜劇も。    砂漠も、森も、海原も、空も。    虚ろも、徒然も、忘却も、孤高も、深淵も、深長も。    わたあめも、焼きそばも、金魚すくいも、射的も、花火も。    すべてが黄色に……そして、一つの大きな『愛』によって包まれていきます。  ああ、なんて大きな愛情なんでしょう。       
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