四章・雨色に染まる異世界生活~ARURU‘s view~

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 わたくしが寄せる、『貴方』への想いがなんと矮小なものに見えるでしょう。    すがって、甘えて、泣きついて……。    彼が仰ってくれた対等でいようという言葉を歪曲し、いつの間にかすっかり依存していたわたくし。  少し彼の様子がいつもと違っていただけで怖がって、拒絶して、受け入れられなかったわたくし。    弱いわたくし。    卑しいわたくし。    ……ああ、敵わないなぁ……。    ……ええ、敵わない……。    ……ねぇ……いったい貴女は……。    誰なんですの?  「じゃっじゃ~ん!!」  黄色の光が引いて。  世界がまた夜と雨に包まれた時。  「我、ここに復活っ!!」  まずわたくしの視界に飛び込んできたのは。  頭のてっぺんからつま先までを、宵闇にも負けないくらいに黒く染め。  安っぽい効果音を自分で口にしながら堂々とふんぞり返っている。  ……幼女でした。  「リリラ=リリス=リリラルル。顕現であるっ!!」  はい……少なくともあなたではないですわね……。
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