四章・雨色に染まる異世界生活~ARURU‘s view~

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 わたくしたちが生きる世界、≪幻世界(とこよ)≫。  それを八日間で創造したとされる七人の偉人、≪創世の七人≫。    ただ行く当てもなく飽和した魔素の吹き溜まる場所に方向性を与え、宇宙規模での大爆発を未然に阻止した大英雄たちです。    一日目。ある者が箱を『構築』した。  二日目。ある者が箱の中身を『構成』した。  三日目。ある者が箱の中身の細部を『精製』した。  四日目。ある者が箱の中身の細部の安定を『制御』した。  五日目。ある者がその箱に『時間』という概念を植え付けた。  六日目。ある者がその箱に『空間』という観念を縫い付けた。  七日目。……誰も何もしなかった。    そして八日目。    ある者がそれまで他の六人が作り上げてきたものすべてを一くくりに包括し、最終的に『世界』という形へと固めた……。    そうして生まれたのが魔素の箱庭、≪幻世界(とこよ)≫なのです。    これはおそらく、この世界で一番認知されているであろう御伽噺。    どれだけ思想や思念、文化圏の違う地方でも。  どれだけいがみ合い、長年争い続けている国同士でも。    独自に派生した逸話は数あれど、その元ネタというか根幹というか。       
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