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会社には『絶対行きたくない』とは思ってなくとも、『行きたくない』とは思っていた。
別に彼女とだって別れて悲しんでくれる人とか居ないし?(別れる前でも悲しんでくれたとは到底思えないが……)
「まっ、いっか」
「良いんですか!?危機感無さすぎじゃないですか!?」
「死にはしないでしょ」
なんやかんや大丈夫でしょ。
「あの……、死ぬかもしれませんよ……?」
「どっちの世界で生きてても死ぬよ」
「はぁ……」
「ユキのメイド服可愛いね。俺メイドさん大好き」
「…………大丈夫なのかなこの勇者……。あとこの服はこのザーファリアの女性の共通衣装です」
「マジで!?」
この国の女の人ほぼメイド服!?
民族衣装がメイド服って事!?
最高だな!
ちょっとワクワクしていると忘れていた大きな体が視界に映る。
「……ところで俺と君はなんでこの寝てるスキンヘッドに何で襲われてたの?」
「今更!?」
スキンヘッドの着ている世紀末な衣装が男性の服装だとしたら嫌すぎるぞ……。
ーーーーー
もしかしたら逆転の発想の方が正しいのかもしれない。
実はユキが襲われていたのではなく、ユキが襲っていたのかもしれない。
そうした場合、なんやかんやフルボッコにしたのは俺だし誠心誠意謝らないといけない。
会社では大体謝るのだ。
平謝りが得意技といっても過言ではない俺の特技だ。
「わたくし達が命を掛けて探しだした契約神具を横取りしようとした盗賊よそいつは」
「10対0でこいつが悪いのかよ。わたくし達ってお前しか居ないんじゃ……」
「仲間はわたくし以外契約神具を探す旅で命を落としたわ……。罠に掛けられたり、こいつみたいなクズ野郎に殺されたりね」
命を落とした……?
あんな絵馬みたいな奴で効力が俺みたいなどうでも良い奴を召喚するだけの欠陥品なんかに……?
「ミドリさんが失礼な事考えているのがわかりますわ」
「あはは……」
「でもね、これはわたくし達の希望なのよ。そんな頼りない希望にすらすがらないといけないくらいに……」
いったいお前はなんの為にそんな苦労をしながら俺を呼び出したんだ……?
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