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「もしわたくし達が負けてたら身ぐるみ剥がされて殺されてました、それでもこの盗賊を生かすわけ!?」
「目覚めが悪いだろ」
「目覚めで生活出来ないでしょ!」
スキンヘッドの盗賊を殺すか生かすか。
話は平行線を辿る。
価値観の違い、生きてきた環境の違いがすぐに現れてきた。
「邪魔するなら勇者様すらわたくしはーー」
「待って待って!?その短剣俺に向けないで!?」
「雷纏いてーー」
「辞めろ!変な呪文辞めろ!」
「詠唱よ」
いや、違いがわからん。
ぎゃあぎゃあと言い合いをしていると……。
『……んっ……』
「!?」
「なっ!?」
野太い第3者の声に振り向くと盗賊が復活していたところであった。
ーーーーー
「も、申し訳ありませんでした!」
開口一番に頭を下げて土下座をしてきたスキンヘッドの盗賊。
話のわかる奴ではないか。
「な、人は反省する生き物だ」
「何を『さっきそう主張しましたよ』みたいな澄まし顔してるのよ!目覚めが悪いみたいなふにゃふっにゃな信念しか見せなかったじゃないの」
うるさくて物騒なメイド服を着た女である。
「襲いかかったオレ様を殺さないどころか庇ってくれたみたいでオレ様感激です!」
シェシェシェと笑っていたなんかヤバい世紀末男はどこに消えたのか、オレ様を名乗る変な世紀末男に変わっていた。
「もしよろしければこのギルナス・エリガスビルがボスに付いていきます」
「え?なんだって?ギルヒルヨル?」
「ギルナス・エリガスビルがオレ様の名っす!」
無駄に格好良い本名なのがむかつく。
「だってよ、ユキがボス呼ばれてんぞ」
「どう聞いたってミドリさんをボスと呼んでいるのよ」
「え?なんで?」
「ギルナス・エリガスビルに聞きなさいよ」
もうスキンヘッドの本名を覚えている事に驚いた。
「オレ様感激したっす!力で屈服されたって感覚忘れてやした。どうかオレ様をボスの元に置いてください!ボスの為になんでも働きます!」
「良かったわね、慕われたじゃないですかミドリさん」
「えぇ……」
ギルナス・エリガスビルを側に置くとか怖いんだが……。
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