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「……いったいなんだってんだよ!?」
意識が覚醒し目を覚ます。
自転車に跨がった状態で俺は居たらしい。
「ったく……、変な夢見てたわ……。帰ろ帰ろ、明日業者の相手しなくちゃだし……」
体勢と顔を上げて自宅に帰ろうとペダルに足を掛ける。
「…………どこだここ?」
見覚えのない広場に俺が立たされていた。
…………ん?
『シェシェシェ、なんだその冴えない面の男は?』
「あん?」
声のした方向に振り向くと筋肉がムキムキのスキンヘッドで目の辺りにタトゥーを入れているいかにもな悪者って感じの男が立っていた。
冴えない男?
どいつの事なのかと辺りを見渡す。
『せ、成功よ!勇者よ!勇者を呼び出したわ!』
スキンヘッドの男と対峙する形でヘンテコな女の声がしてそちらに振り向く。
左目のしたに黒子のあるフリフリのメイド服のコスプレをした茶髪の短い髪型の女(スキンヘッドの示す冴えない男だとしたら性別が間違っているけど)がガッツポーズをしていた。
「形勢逆転よ!さぁ、勇者!やっつけちゃって!」
なんか俺に指さして訳のわからん事を呟いていた。
「あんたさ、冴えない男とか言われちゃってるぜ。その見掛けで男とはビックリしたぜ。じゃあ俺家に帰るからじゃーな」
男でメイド服を着ている奴なんか今までの人生で見掛けた時が無かったので引き気味であったが、それを隠しながら自転車を動かそうとする。
「待って待って!ちょっと、どこ行こうとしてる!?戦って!?戦ってよ勇者!」
「……え?勇者って何?」
意味がわからなく自転車のペダルから足を離す。
手元を確認、先程の紋章の描かれた絵馬がある。
一旦頭を整理する。
「冴えない男っててめえに決まってんだろーが!潰すぜぇぇぇ!」
「え?えぇ!?」
筋肉の塊みたいな奴から突進されている。
や、ヤバい……、逃げないと……。
「う、うわぁ……」
自転車から転び地面に転がる俺と自転車。
スキンヘッドの男の前に自転車が邪魔をして突進の足を止めた。
「ちっ……、邪魔だ」
ジャンプして自転車を飛び越え俺に駆け寄る。
よ、良かった……、自転車が壊されるかと思ったぜ。
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