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「シェシェシェ、そいつが勇者だぁ?シェシェ、どう見てもただのガキじゃねぇか」
「ガキとは失礼な。俺は二十歳だぞ」
「はた……?なんだって?潰すぜガキが!」
地面に倒れた俺を踏み潰そうと足を向けてくる。
よく見ればスパイクみたいなトゲトゲした靴底の靴を履いていて踏まれただけで大怪我しそうで転がって避けた。
「はぁはぁ……、はぁ……。なんだよお前……?」
「シェシェ!勇者とかびびらせやがって!どう見ても度胸もないヘボ男じゃねーかよ!」
「そ、そんな……。……わたくし達の希望の勇者様が……」
失望の目を俺に向けて涙を流す。
……あれ?
俺がなんか女泣かせたみたいじゃね?
「シェシェシェ、がっかりだなぁ?せっかく守り抜いた契約神具がガラクタなんて笑ってしまうなぁ?シェシェシェー」
シェシェシェ、シェシェシェと気持ち悪い笑い方のするハゲだなオイ。
「ーー万物を潰す圧倒的な力よ、我の望みに応えて『力』」
ハゲの手にどこから現れたのか鎖付きの鉄球が現れる。
やベーよ、なんか世界観間違ってるよ……。
「お……、終わり……。わたくし……、何も成し遂げられないまま終わりなの……?」
メイドのコスプレ女が絶望に染まる。
俺はそんな彼女の顔に居たたまれなくなり立ち上がる。
「オイ、ハゲ」
「ハゲてねーよ!丸めてんだよクソガキ!」
「それがハゲなんだよ」
なんか命のヤバい地雷を踏んだ気がする。
でも、いいや。
どうせ死にはしないだろう。
「これでも学生時代はプロレスやってたんだ!3年近くやってないがなんとかなるだろ」
「シェシェシェ、ごちゃごちゃごちゃごちゃ消えろぉぉぉ!」
鉄球を飛ばしてくる。
「しかも風の加護付きだぁぁぁ!」
「くっ……」
風圧がヤバい。
目が開けていられない。
プロレスとか関係ねーよ、なんかでガードしないと!
手に持っていたなんかでガードした。
バギッと鈍い音がしたが、それが盾になったのか俺は風圧に飛ばされただけで済んだ。
壊れた物の破片を見る。
変な絵馬だった……。
「……ふぅ、そこそこ耐久ある絵馬で助かったー」
「シェ……?」
「って、はぁぁぁぁ!?貴方壊してしまったの!?」
すっとんきょうな声を上げながら女はただただ驚いていたのだった。
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