ユキとの出会い

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きっ、と睨んでくるメイド女。 なんか俺に殺意が向けられている気がする。 ハゲとメイド、どちらも敵になった……? 「シェシェ……、契約神具を壊してしまったか……。クソっ、お宝がっ!」 「え?宝だったのかこれ……」 そう言われると変な紋章も美しい形をしていた気がする。 売れば100万くらいしたかも……。 流石に夢見すぎか、10万くらいか。 「シェシェシェ、まぁいい。死ね」 遂にハゲに死ねとか言われた。 鎖を収納し、鉄球を右手に嵌め込んだ。 グローブ型に変形したし……。 「うらぁっ!」 「うわ……」 右に避ける。 流石にブランクはあるが、プロレスの経験があるので見切るのには成功した。 風を切る隙が出来て俺は右手の鉄球を振り落とそうとその手首目掛けて力いっぱい蹴り込んだ。 「ぎ、ぎぃやあああぁぁぁぁぁ」 「…………」 悲鳴を上げながら左手で蹴られたところを抑えるハゲ。 「…………」 「嘘……、やっぱり本物の……勇者……なの……?」 勝てるんじゃね? 「オイ、さっきまではよくもやってくれたなハゲ!潰すぞハゲ」 「ま、待て待て!しぇ、シェーー!」 固そうな頭で頭突きを繰り出してきたがその中心目掛けて拳を入れた。 「ぐぁ……」 そのままスキンヘッドの巨体が俺の目の前に倒れた。 …………家に帰りてー。 「あ、……貴方やっぱり勇者なのね!」 メイド服の女が驚いた表情をしながら希望に満ちた目をしていた。 「うん、明日有給だけど仕事なんだ。ごめん、帰るわ」 「いやいや、待って!待ってください!有給じゃなくて勇者ですー!」 「勇者?…………俺が?」 「はい!わたくしは貴方を待っていました勇者様」 俺の前に頭を下げるメイド女。 これが御剣碧とユキとのファーストコンタクトであった。 鈍感で理解力の鈍い勇者の危機感の足りない旅の始まりであった……。 「わたくしの名はユキ、です。どうぞお見知りおきを……」 「はぁ……、こちら御剣碧です」 「ミツルギミドリ様……、よろしくお願いいたします」 「いや、よろしくとか知らんし……」 スキンヘッドが伸びている横でユキを名乗る少女に何故か自己紹介をされていた。 この子勇者とか痛いんだよね……。
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